詐欺 詐欺のパターン
- blackknight3214

- 2019年9月18日
- 読了時間: 11分
皇室詐欺についての記事に反響があったので今回は詐欺師の手口の本質について語る。
探偵業界では横領、結婚詐欺、保険金詐欺の主犯が調査対象になりやすい。

まず一般的に誤解されている事実について述べる。
外見上の特徴について
これらは後述する『経験』によって詐欺師が身につける形態である。
A:いかにも詐欺師風のセールスマンやヤサ男、実業家風の詐欺師
これらは詐欺師の中では下級に属す。
B:どうみても詐欺師に見えないような風貌 例えば前科があるとしたら詐欺ではなく公務執行妨害や殺人であろうという風貌の大柄で粗暴に見える男や
そこそこの年齢に達している紳士淑女風で裕福に見えるが服装や所作に若干のスキがある者
これらが詐欺師としては上級である。
一般的にはいかにも詐欺師なAタイプの方を警戒しがちだがこのようなタイプは詐欺組織の末端部員であったり
規模の小さい「詐欺」というよりは「ごまかし」
短絡的な横領
といった手口を使う輩が多い。
Bは大物詐欺師に多いタイプで大きく報道されたり被害額の大きい事件を起こすタイプはこのタイプである。
あるいは詐欺にあったことを被害者に気づかせないことすらあったり、詐欺の被害が表面化しているのに
「あの人がそんなことをするなんて思えない」と被害者に宣わせるほどであったりする。
しかし詐欺師はどこまで行っても詐欺師 ほころびが生じる。
例えば一般的な富裕層は皆一定の型を持っている。
良い家
良い服
良い車
安定した正業とそこから生まれる社会的地位
が代表的だ。
富裕層を装った詐欺師はこれらのどれかが欠けておりそれに対してもっともらしい言い訳を用意している。
身なりは良いがスラム地区にすんでいたり、ボロアパートに住んでいたりする。
↓
家にはほぼ帰らないのでどうでもいい。ハングリー精神を保つために。どうしてもここでないといけない特別な事情がある。など
大きな儲け話や一大事業の話をするがみなりはどうみても一般人、あるいは妙に派手だったりクリーニングに出していないようなくたびれた衣服を着ている。
↓
身なりで人を判断するような程度の低い人間のフィルターになっている。服に興味はない人前に出る仕事ではないから。など
家はタワーマンションだが車は持っていない
↓
車は負債。車の運転はリスク。興味がない。など
高級車だが年式が古い
↓
この形が気に入っている。恩人から譲り受けた大事な車。など
自己紹介の何も裏が取れず手がけている仕事も曖昧でどれも浮ついたような最近の時事情報のうわべだけをなぞったような話をする。
とにかく先に上げた型を備えていないのに金持ちや権威的存在であると吹聴したり、人にさせたり、そのような振る舞いを公然とする者は警戒した方が良い。ほぼ間違いなく詐欺師である。
特に貴金属やブランド物、高級車や豪勢な生活をこれ見よがしアピールする輩は昔から中身のないペテン師と相場が決まっている。
自分は儲かっている。
自分は羽振りがいい。
とアピールすることにより
自分に着いて来れば間違いない。
自分の言う事を聞けば得をする。
とほのめかしているのだ。
こういう手口は若年者には通じてもある程度の経験を経た人間には通じない。
最近だとユーチューバーや情報商材を売る者にこのような手口を使う浅はかな者が多い。
SNSでもとにかく自分の私生活がいかにイケているかをアピールする。
このような風潮は、世界的に見られている。
西洋的な価値観『多様な人生経験をすることは人として正しく、多様な人生経験をしている人間ほど大きな成功をおさめる』が支配しているからであろう。
しかし、すでに一部の人間は気づいているのではないか?
旨い飯食って、景色のいいところに行って遊び惚けて、それが本当に最高の生き方なのか?
そんなこと世界中でいろんな人種がやっている。そんなことが本当に多種多様な経験というのか?
という事に。
この話は本件と逸れるので割愛するがつまりは
『金があれば自分の人生は良くなる』
『自分は特別な人間である。ただ単に金が無くてその才能を発揮できていないだけだ』
このような考え方に支配されているためまんまと騙されてしまう。
さて外見だけで詐欺師を見分けるとしたらこのような指針しかない。
例では富裕層を装った詐欺師について解説しているが、これらの指針はすべてに共通して使える。
大学教授を装っているなら教授が備えている型から外れている項目がある。
しかし、用意周到に詐欺を計画しているならこのような穴は全て埋めてくるし
周辺の調査をされても良いように偽の情報をあらかじめ流していたり信用を生む根拠(例えば事業所であったり、登記であったり、インターネット上のサイト関連であったり、筋道の通った事業プランであったり)も準備してくる。
探偵業でもこの流れは顕著であり、業界関係者からしたら新参の詐欺まがい業者が何を偉そうに宣伝してやがるんだと会社名やサイト名で検索してみるときっちりSEO対策されておりその業者の提灯記事が大量に上がってくるようになっている。
手口としては
見込み客が検索エンジンで自社で制作した自社が制作したとわからない形態のランキングサイトや口コミサイトを閲覧しそこで自社の商品名やサービス名を知る。
↓
見込み客は安価なものなら即購入するが、高価なものだと一旦立ち止まり 商品名、サービス名で再度検索をかける。
↓
それを先回りし 口コミサイトやレポート記事を作成しおススメだとあくまで第3者視点で推薦する。
↓
見込み客は安心して購入に至る。
このような流れになる。
ひと昔前は口コミなどで実態がわかることも多かったが最近はこのように口コミ自体も偽装、隠避されてしまっているので被害者が続出している。
インターネットというのはそこにあるものしか存在しない世界である。
ネット上に無いものは無いとされてしまう。
ネット信奉者の限界はここにある。
手口について述べる。
手口と言っても詐欺というものは終始、話術に頼る。
いかにして良くできた架空の話を作り、それが本当であると思わせる空気感を作り
相手に信じ込ませ金員を引き出すか
一言でいえばこれだけなのだが、大物は大勢から多額の金額を引き出し
小物は数人からしか引き出せない。
しかし大物も小物も
実質が伴わないためいつか破綻する。
大物と小物を分ける
その違いは
先ほど挙げた用意周到な計画
経験
生来のセンス
による。
しかし突き詰めて行くと
金員、資産を最初に差し出させる とういう結果にいきつく。
その為の理由を作るのが詐欺師の仕事である。
また詐欺というのは学問の様なものである。
勤勉なものほど大きな結果を出す。そしてセンスと勤勉さを持つものはより高みへ上る。
経験
詐欺師の技量は経験を元とする。
経験の浅い者が最初から大規模な詐欺事件を引き起こすことは不可能である。
大規模な詐欺事件を起こす者というのは必ず過去にそれに近い事件を起こしていたりそのような組織に所属した経歴がある。
往々にして詐欺師というのは子供の頃にちょっとした嘘で成功体験がありそれを習癖にしてしまった輩である。
人を信用させるための話し方、効果的なストーリー、作り話に信ぴょう性をもたせる物証作り、信用させるための仕掛け作り、ターゲットの選定方法
経験を積み自分の最も得意なスタイルを確立させていく。
逆に経験のない者は行き当たりばったりのごまかしトークに終始し早々に話が破綻してしまう。センスのない者は最初から表情に出たり所作に出たりする。
センス
詐欺師の精神性
まず本物の詐欺師は自分を詐欺師とは思っていない。
結果としてこうなった。
不本意だがこのような事態になってしまった。
自分は相手の為を思ってやっていた
などと本気で思っている。
この精神性が信用を生む。羽賀研二などがそうだが人を騙そうなんてその瞬間は全く思っていないのだ。
横領や不正全般では
「確かに悪い事だというのはわかる。しかし誰もがこれくらいのことはやっている。」
「自分の能力に見合った報酬を得ていない。これくらいの見返りがあってしかりだ」
「あとでちゃんと帳尻を合わせて何事もなかったようにするつもりだった。」
「一時的に借りたつもりだった。」
このような考えで行為に手を染めるものが多く
営業、販売部員などは
「確かに客を騙している。しかしこれは仕事で仕方なくやっている」
「別に言う必要はないから言わなかっただけ もちろん言ってあげた方が親切だと思うが こっちも仕事でやっている。」
だから自分は悪人ではないんだ。
という自己弁護に終始した思考パターンである。昨今では不動産仲介業者に顕著にみられる。
このように「ごまかし」「自己正当化」で詐欺をする輩は雰囲気や印象で見破れても
大物詐欺師というのは印象では詐欺師には見えない。
判別するには先に上げたような他の材料を用いるしかない。
反社会的勢力の者は特別で
詐欺だとわかっていてやっている。バレた時は懲役は覚悟している。バレた時の為に法律を用いた言い逃れや減刑方法も熟知している。
このように強固な意志で事を起こす。
末端部員は見るからに詐欺師、チンピラのたぐいだとわかるので問題ないが
大物詐欺師になると一見して詐欺師には見えないので特に注意しなければならない。外見の判断材料としては
目つき、眼光、肌の質感、色味に現れやすい。どれも一般人より濁っている。
話術
とにかく話術には長けている。一流のセールスマンに近い。もちろん経験により腕を磨いていくのだが
下級詐欺師というのはうまく話しているように見えるが表情が固まっていたり、邪でぎらついた目つきをしていたり
面と向かって話していると違和感を感じるものだが上級の詐欺師にはそれが無い。
またこちらが疑ったような視線や疑いをかけた質問をすると
下級詐欺師は食い下がってくるが上級詐欺師はスッと引いていってしまう。
上級はカモには困っておらず、不安要素になるような人間とは極力付き合いを避けるからである。
詐欺師の話術の最も顕著な特徴としては表現が全て曖昧になることである。
例えば
~の関係の ~の方から来た ~や~の仕事に関わっている ~になる予定で
大体~になってます ~関連の開発をやっている
このような曖昧な表現をよく使う。
また
大きく分類すると嘘ではないが実体はほぼ嘘な表現を多用する。
例えば
モデルをやっていた → カットモデルをしたことがある。素人撮影会にでたことがある。
貿易をしている → 先物取引
昔俳優をしていた → 声優学校にかよっていた
ライターをしている → ブログを書いている
不動産ブローカーをしている → 過去に競売物件に入札をしてみたことがある
~(有名人)の親族だ → 苗字が同じだけだがそうお思いたい。
数字に関しては大きいとプラスなら実際より大きく申告するし
小さいとプラスなら小さく申告する。
(これは詐欺師に関わらず一般人でも日常的に行う事だが)
騙される者がいなければ詐欺は成立しない。
騙される側のスキは
『自分は特別』
『ようやく自分にもチャンスが回ってきた』
『これだけ苦労してきたのだからこれくらいの得はしてもいい』
という考え方にある。
パッと出でいきなり大成功したような青年実業家の話をよく見かけるが
そのように見えるだけで実際は
時勢に求められる専門的職能を持っていた。
という中身の伴った者が多い。しいていえばその職能が高く売れる時代に
生きていたという運の良さくらいであろう。
例えばiPhone発売当時、クソみたいなアプリでも売れる という時期に
アプリを開発できるような職能を偶然持っていれば一発当てられる可能性は高い。
しかしほとんどの人間はそのような職能は持っていない。
また「アプリのゲームが売れるんですよ~ 自分ら作れるんで投資してください。」というような話が来ても
その業界をまるで知らないなら騙される可能性は極大だろう。
職能や専門知識があれば「そんな簡単なものではない。根拠をもっと具体的にだれがどのようにどんなジャンルで
宣伝はどのようにして どれくらいの期間でどれくらいかかって~~」と展開していき
その甘い話に乗るようなことは無いだろう。
簡単な例を挙げたがつまりはまずは自分の能力が伴っていなければ
旨い話などありえないし、アカの他人からもたらされる話などはもっとありえないということだ。このようなことを一まとめにして
「世の中 そんな甘い話はない」と言う。
住む世界が違うという言葉があるが
それはまさしく言葉の通りである。
我々一般人の生活圏内にビル・ゲイツや孫正義などは存在しない。見かけることなどなく、友人知人が見かけたという話すら聞かない。
会話したなどではない 見かける事すらない のである。
それと同じくして本当のヤクザというのも住む世界が違う。我々が普段目にしているヤクザに見える男というのは実際はチンピラ、あるいは末端構成員である。
しかし詐欺師は我々と同じ世界にいる。
詐欺話というのは以前は、友人、近しい知人、職場の同僚などからまわってきたものだが
現在はそれらに加えてインターネットから雪崩のように浴びせられる。
騙されないためには心に強い芯を持つことが良い。
強い芯を持たせるために世襲や血統主義は重要な役割を果たしていたのであろう。
強い芯を持たない現代人は客観視の能力を磨き上げるしかない。
探偵術がその助けになれば幸いである。








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