黒騎士探偵術 偵初法 撮影の際のポイントについて
- blackknight3214

- 2019年3月15日
- 読了時間: 7分
撮影をする際、初心の者が起こしがちな失敗を
防ぐためのポイントを述べる。
眼球にカメラを埋め込んで全てを記録できるような時代が来れば楽なのだが現実はそのようにはいかない。
要所要所で撮影機器を取り出し撮影に臨む。
その要所と、その際の注意点を挙げる。(主にビデオカメラを使っての撮影について)
主な撮影ポイント
建造物の出入り
車両の乗り降り
調査対象者の接触人物
店内での購入物、飲食物
対象者が「いつ」「どこで」「だれと」「何をしているのか」が
わかるような映像にすること。
つまり極端なアップや小人が映っているような遠い映像。
ふらついていて何を取りたいのかわからない映像は悪し。
※極端なアップ
初心の者は、顔をしっかり撮れ!や手を繋いでいる時のその手を撮れ!と言われると
そればかりをアップで撮りそれがどこなのか、どのような風体の人物なのか等が
ほとんどわからない映像にしてしまう事が多い
※小人
初心の者が最もよく起こす失敗の一つで撮影の対象が非常に小さく映ってしまっている。
これは肉眼とカメラとのギャップでおこるのだが肉眼で見えている範囲とカメラで遠景で撮っている時とではカメラの方では対象者は景色の一部のように遠く映っているということを意識しなければならない。
※ふらついた映像
初心の者はカメラを持つ手が揺れ動き、何を撮っているのかよくわからない映像になることが多々ある。
その他、ファインダーを見ながら対象を探し見つけられず辺りを縦横無尽にふらついて撮っているような映像を残したりする。
さらにしっかり撮影出来ているように見えて斜めに歪んでいる映像を無意識に撮っていたりする。
これを防ぐには
まず、カメラは遠景(ズームにはしない)にしておき肉眼とファインダーで対象を確認してからズームで寄ること。
何も考えずに隠し撮りを行うと、撮影には不向きな姿勢から歪みやブレが生じるということを念頭に置き意識してそれを排除するように心を向けておくこと。
歪みに対しては『グリッド線』が出せる器材なら簡単に回避できるだろう。
この遠景からズームで寄るというパターンを使えば小人や極端なアップのみの映像を量産は起こらない。
(たまにバーンとズーム、サーっと引く、またバー―――ンとズームみたいなグワングワン映像を撮る者がいる。落ち着いて撮るように。)
特に浮気調査の際は
接触人物とその人物との親密な様子、車両の乗降シーン
建造物への出入りの撮影が重要視される。
出入り、乗り降りの撮影は瞬発力と集中力が要求される。
TV局のカメラマンのようにカメラを担いでまわしっぱなしというわけにはいかない。
「入る!」「乗る!」と認知した瞬間にカメラを取り出し
起動させ、ピントと画角を合わせ、ブレないように撮影を実行する。
これも尾行、張り込みと同じく若い者の方が有利ではあるが、年を取って運動能力が低下してはいるが経験を積んでいる中高年探偵や
功が成った探偵は
「入る前」「乗る前」「降りる前」「出る前」その他全ての挙動に対し事前に察知できるようになっている。
その他細かいことを挙げればきりがないが本質は
『何のために使う映像なのか?どのような映像が必要なのか?を考えて撮る』
ということである。
極意書でも述べているが例え上司や元受け、依頼者にどのような指示をされようとも
常に自問自答し「自分ならこれはこうする」「おそらくこれはこうなる」「なぜこんなことをしているのだろう」などと考えながら業務を遂行しなければならない。
これは二流探偵と一流探偵を分ける肝になる。
調査開始、経過、調査終了の際の撮影について
業界内で現着映像、経過映像、解除映像などと呼ばれているものである。
※現着映像とは
現地到着映像。調査開始場所に到着した際にそれを撮影する。
その時刻に開始場所に到着し調査を開始するという意味合いを持つ。
※経過映像とは
張り込み中など、一定の時間が経過しているが現場に動きがない際(対象者の出入りなどが無い時)にここでこのように 見ていますよという映像を撮る。
※解除映像とは
調査解除映像。調査を終了した際その周囲の状況を撮影する。
これはその時その時で変化するもので、例えば尾行不能に陥った際はその見失った地点の周囲を撮影したり、調査対象者が帰宅して終了となった場合は帰宅先の全景などを撮影したりする。
調査の終了に対する呼称は流派によって様々だが現在「解除」「終了」が主に使われているようだ。この流派に関しては後々別で述べる。
現着映像
最も注意すべき撮影
強調して書くが、この現着映像の撮影の際に調査バレを起こす者が多い。
しかし必須の映像の為、オミットは出来ない。
景色を撮るような簡単な撮影なのになぜ最も注意が必要なのか?
調査開始場所に到着するとまずその周辺を撮影する。
浮気調査で例える。
往々にして開始場所は対象者の自宅か、勤務先になる。
自宅であれば
家屋、あるいはマンション等の建造物の全景
そこから玄関、表札や駐車車両、自転車、ベランダ
電気メーター等、郵便ポスト、全ての出入口等
開始場所と対象者と関連するものを撮影する。
勤務先であれば社屋や店舗の全景
車で通勤しているなら駐車されている車両、看板などになる。
そしてこの撮影の時に調査バレするものが非常に多い。
これはひとえに色気の出しすぎが原因である。
家屋の全景と駐車車両くらいであれば早々問題が起こることは無いが
功名心にかられ熱心に表札や、駐輪されている自転車、庭先の洗濯物、ポストなどを
丁寧に撮影をするあまり
近隣住人、あるいは建造物内にいる対象者、またはその関係者に
その様を見られているという致命的な失敗に気づかず、いきなり「おい なんか変な奴がいる」と早々に警戒され相手が悪いと通報、あるいは対象者自ら「なんだお前は?」などと声をかけられ調査の継続が困難になることがある。
これは本質を理解していない故に起こる過ちである。
よくよく考えてほしい。
このような調査依頼の場合、依頼者は対象者の配偶者やごくごく身近な人物であることが多い。
仮に妻が夫の浮気調査を依頼したとしよう。
自宅の表札や庭先を熱心に撮影し、その映像を見せられても
「だからどうした。これはうちの家だから何も珍しくはない」という結果にしかならない。
それと同様に開始場所から対象者が出て来た際の撮影も色気を出しすぎて失敗する者が多い。
とにかく顔のアップや正面からのいい映像を撮ろうとするあまり無理な撮影をして開始早々バレる者がいる。
これも依頼者からしたら対象者というのはよく知っている人物なのでそんな場面の顔や
きっちりしたきれいな映像は重要視していないのである。
そんなことで調査中断あるいは調査続行不可能、調査失敗になるのは馬鹿げている。
※ 逆に依頼者が対象者の現状をほとんど知らない場合
または対象者の接触相手のことが知りたい場合(浮気調査においては浮気相手)は
自宅周りをくまなく撮影しあらゆるところに目を配り観察しなければならない。
調査開始から調査終了まで
相手がどこからどこへ行って誰と何をするのかはわからない。
そのような状況でいきなりリスクを冒すのではなく、チャンスを待ち安全な状況になってから好きなだけ満足のいく映像を撮ればよい。
ただし これも状況次第である。
例えば対象者が何者かと接触した場合(浮気調査であれば浮気相手と合流。素行調査なら接触人物全て。)その相手といつまで一緒にいるかはわからないし、いい画角で撮れる(画角が悪いと横顔や遠めからズームで寄った荒目の映像ばかりになる)保証もない。
そのような時は無理をしない程度に接触的に色気を出した撮影を行わなければならない。
これは6カ条の内「執」を用いる。
しかし、くれぐれも居付かないように。
よくある失敗の一つに撮影に居付いてしまい尾行不能に陥ったり
周囲が見えていないせいで自分の横にいる関係者に気づかず
露見してしまったりすることがある。
対象者のまわりにはその関係者が現れると意識しておくこと
常に見るのではなく観るという意識でいるべし(その他口伝あり)
探偵の調査活動において最も露見するリスクが高い行為は
張り込みでも尾行でもなく撮影である。
また注意力、集中力を要するのも撮影である。
業界内では難しい調査や、警戒心の高い対象者の調査をする際「撮影はほどほどで、とにかく見失わない事重視で」などとよく言う事がある。
それほど撮影はリスクを抱える行為である。
以前も述べたが
ついていく
バレないようについて行く
バレないようについて行きながら撮影する。
順を追って難易度が上がる。
ド素人でもセンスがある者ならバレないようについて行くことが多少できる者がいる。
しかし「きっちりとした撮影も」となるとほぼ不可能である。
顧客が我々に金員を支払う理由でもある。
以上
長々と話したが この最もリスクを抱える行為である「撮影」を
調査開始前からむやみに行い自殺行為をするような者が後を絶たない。
とくにここ5年くらいの間にこの業界に入ってきた者に多く見受けられる。
諸君らはきっちりと本質を捉えるように。









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