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黒騎士探偵術 偵初法 面取り

  • 執筆者の写真: blackknight3214
    blackknight3214
  • 2018年9月9日
  • 読了時間: 9分

面取り(顔確認)


調査を開始するにあたって調査対象者の情報を依頼者から受領する。

情報量は依頼者と対象者との関係によって様々だが、たいていの場合

対象者の顔や風体がわかるような写真をメインとして氏名、住所、年齢

くらいの情報は入る。

それらに加えて身長体重歩き方、癖などの身体的特徴くらいは知っておきたい。


仮に依頼者が親族であれば事細かな情報が得られるが

実際の調査現場においては

写真すらない。

写真だけあってあとは何もわからない

という場合もある。


写真だけあってあとは何もわからない 

という場合は人探しにあたるのでこれは『黒騎士探偵術 極意』で述べる。

今回は一般的な依頼者は調査対象者と顔見知りで情報豊富だがこちらは見たことが無い人間というパターンで話を進める。


面取りの注意点とポイント


1.写真が古い

提出された写真が数年前ならまだしも十年以上前の場合がある。20歳から30歳の10年はさほど変化は無いが30歳から40歳、42歳から52歳など場合によっては相当外見が変化している場合がある。これは女性より男性に顕著である。

往々にして 色が黒く、全体的に太く(特に顔の皮が分厚いくなっているような印象)頭髪は薄く、白くなっていることが多い。

もちろんこれには個人差がある。大病を患い、やつれたようになっているものもいる。

古い写真を渡された場合は、耳の形、ほくろ、眉毛、眉間を中心とした眉鼻目 辺りで判断すると良い。体形が変わっていなければ輪郭も参考になる。


2.顔写真しかない

証明写真のような顔だけの写真の場合、実物が写真のまんまでないと見落としやすい。特に勤務先からの退勤後というような開始条件の際、同属性の人間の出入りも多く判別が難しくなる。

顔写真だけ見ると「阿部寛」や「デビット伊藤」のような印象を受けるのに実物は非常に背が低かったりすることがある。

またはその逆で子供のような顔をしているのに身長185センチ体重100キロといったような巨体の者もいる。

あるいはビシッとしているように見えるのに実物はだらけたような風体であったり

またはその逆で写真では漫才師のように見えるが実物は非常に重心が高くスマートに見える事もある。

このような場合は必ず身長と体形を聞いておくべきである。聞けるならよく着る服やカバンや歩き方などの癖がわかっていればなお良い。

極端な体形をしているものはわかりやすい。(つまり調査員がそうであると非常に不利である)


3.写真が悪い

たまに写真とどう見ても別人という事がある。いやよくよく観察すれば写真の人物なのだが

パッと見ではまるで別人のようなのだ。写真写りが非常に良い者、逆に非常に悪い者もこれにあたる。

このような者がいるので調査前に出来るだけ情報を集めておくべきである。

芸能人だと誰に似ているかという質問も良い。


4.マスク、帽子、サングラス、染髪、化粧など

女性に多いがマスクとさらにもう一つ(マスク+サングラス あるいは マスク+写真では黒髪だが実物は金髪 など)の変化が加わると面取りは非常に難しくなる。

化粧の有無も、個人差があるがまるで別人になる女性がいる。

このようなことは日常茶飯事であるのでやはり体形、服装のセンス、持ち物、雰囲気などの情報は得ておくべきである。



5.同属性の他者が多い場所から開始せざるを得ない

簡単に言うと対象者が40歳会社員、スーツを着てオフィスビルに出社、オフィスビルにはテナントが多く入り、対象者の勤務先にも従業員は50名はいる。

というパターンや

対象者は35歳会社員、勤務先は郊外の大工場、従業員は総勢1000名、定時後には一斉に従業員が退社していく。

対象者は30歳看護婦、大病院勤務、同年代の患者、看護婦が多数出入りする。

というパターンである。

 後姿だけ見たらほとんど同じという者が多数存在する。

これを見抜くにはセンスがいる。このセンス(相貌認識力)については後述する。

対象者に対する情報が多ければ多いほどセンスに頼らなくても判別が出来る。

どうしてもわからない時はいわゆる

「出勤確認」をしなければならない。


※出勤確認とは

対象者が出勤するのに合わせて自宅で張り込み、自宅から出る対象者を目視、撮影し出勤の際に勤務先敷地内に入る出入口まで確認しておき、退勤後に備える事。

一度も実物を見たことが無い状態より、一度でも実物を見ている方が圧倒的に判別しやすい。


まずはこの5つの基本を押さえることが失敗を軽減する。


面取り方法


自宅開始の場合

確実に面取りを行うには玄関扉が見えている必要がある。

しかしそのようなシチュエーションは多くない。


玄関扉が見えない場合

張り込みから出入りを確認し尾行に移る際と同様であるが

玄関扉が見えないならその次に絞れるポイント

例えば

マンションなら同フロア

そこが無理ならエレベーターホール

そこが無理ならその次はエントランス

そこが無理なら次は建造物出入口

そこが無理なら次は敷地出入口

そこが無理なら次は移動ルート

そこが無理なら次は立ち寄りポイント(駅、交差点等)になる。


勤務先や立ち寄り先開始の場合

勤務先なら社屋や事務所の扉が見えていれば容易になるが

やはりそのようなシチュエーションは少ない。

基本は先ほどの解説と同じく

扉が見えなければ同フロア

そこが無理ならエレベーターホール

そこが無理ならその次はエントランス

そこが無理なら次は建造物出入口

そこが無理なら次は敷地出入口

そこが無理なら次は移動ルート

そこが無理なら次は立ち寄りポイント(駅、交差点等)になる。


※確実に車両や自転車を使うという前提があるならそれが確認できる場所でも良い。

特に車両で移動する人間は容易い。


相手の情報が全くない場合

家もしくは勤務先だけがわかっておりそのほかは写真もなく、どんな人物かほぼわからない時もある。

その場合はどのような手段でもいいので

露見しないことは当然として

自然に全く猜疑心を沸かさない方法を考えて特定をする。

『謀』や『偽』に長けた者なら公然と玄関をノックして対象者あるいは親族相手に作り話をすることもできる。

ITリテラシーの高い者は運が良ければ思いもよらぬ情報を掴むことがある。

それらが不得手な者は扉に仕掛けをしたり、開閉音を聞くための音声送受信機を使ったりなど手間と時間がかかる(時間と予算が許すならこのほうがリスクは少ないが)

これらの方法についてはそう大した内容ではないが口伝としておく。



面取りに必要なセンス そして探偵に最も必要なセンス

相貌認識力


これは先天的にそなわっている者もいれば全くその素養が無い者もいる。

またこの能力は探偵に最も必要な能力である。

これが無い者はどこまでいっても二流どまりである。


なぜか


顔がわからなければ何も出来ないからである。


例えば対象者や関係者が目の前を横切っても認知できない。

つまりどのような調査においても顔がわからないので一人では遂行出来ない。


人探し、あるいは失尾した際に偶然の幸運が訪れ、対象者が自らの視界に入ってもそれを認識できず掴めない。


どこまでいっても仕事の腕を信用されない。


当流ではまず第一にこの素養の有無を確認する。

これが無い者には入門は許さない。


一流を目指すならさらにこの相貌認識力に加えて人並み以上の観察力と人体に対する理解が必要である。


これらを備えると、顔がわからなくてもそれ以外の客観的特徴で特定できるようになる。

これは連想ゲームのようなものである。

この場で語りつくすことは出来ないが簡単に実例を挙げる。


例えば

依頼内容

会社経営を長く続けている父がいる。最近、古参の役員から「父が長年従業員の女性と不倫しているようだ」という噂を聞いた。確かに父はもう10年は週に何日か外泊している。この話が事実ならおそらくはその従業員女性のマンションにいっているのであろう。

従業員女性の詳細は全く分からないが、その役員から相手と目される女性の特徴は「背は低く、一重まぶた、ネコのような女」とだけ聞いている。

父がこの女性宅に出入りしている証拠が欲しい。父は基本的に忙しくどこで何をしているのか我々は把握できない。東京、名古屋、大阪、福岡、さらに中国と移動も多い。父を尾行するのではなくその女性の住居を把握しそこで父が来るのを待っていてもらいたい。


このような依頼内容がある。


勤務先はわかっているので退勤する従業員の中から情報の

「背は低く、一重まぶた、ネコのような女」を特定しなければならない。


ここでも常識が問われる。

まず

背が低い

女性基準の背が低いというのが大体何センチ以下を差すのか?

仮に140センチ程度なら「非常に低い」という表現をするのではないか?


一重まぶた

いわゆる「アイプチ」等を使って二重を偽装はしていないということなのか?

それとも偽装バレバレなのであえて「一重まぶた」といっているのか

いや偽装バレバレならそのことは特徴になるので「一重だが二重に偽装している」といった話が出てくるはずではないか?

そもそも二重偽装やつけまつげというのが最近の文化で、それなりの年代の人間はそんなことはしないのではないか?


ネコのような女

何をもってネコと表現しているのか?

往々にしてネコ科の女という表現をする場合

釣り目で目が大きい女性を差す。さらにいうと顎が短く小顔のはずだ。顎が大きかったり

顔のデカい女はネコ科の女とは言わないのではないか?

体形はどうか 太っている女をネコとは表現しないのではないか?


長年不倫している

長年ということはこの女性は少なくとも35歳は超えているのではないか?

この父は現在65歳である。

65歳と長年不倫関係にある独身女性が若いはずがない。

若くて40歳代、50歳くらいが順当ではないか?

逆に若いなら「若い女性と不倫している」と不相応に若い事を強調した話になるのではないか?

さらに経営者自らが不倫相手に選んでいるという事はそれなりの美しさやあるいは色気のようなものを備えているのではないか?(この辺りの感覚にセンスが問われる)

そして水商売などではなく真っ当な一般職につきながら長年の不倫に耐えている精神性から考察するにド派手で知性を感じさせないようなタイプではなく一見すると大人しいタイプではないか?

(水商売の女なら面の皮が厚く、生活の安定やリスク管理の為に同時に複数の男性と関係を持ち、その卑しさが表情や所作に現れているタイプが多い)


これらを総合すると

身長150センチくらい、年齢40~55歳くらい。一重まぶた、小顔、顎が短い、やせ型、服装は小ぎれいで流行におくれたようなものではない。おそらくは上品な雰囲気。運動能力は高くない。

という予想が立つ。


そして実際このような女性が現れ

その女性の帰り着いたマンションに数時間後その父が現れた。


予想とはずれていたのは、目が細かったこと、服装が思いのほか地味だったことだろうか。



これらに関しては『黒騎士探偵術 極意』で詳しく述べる。


後天的にこの力を磨くには

幅広く諸芸に通じる事と

絵をかくのが良い。



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