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黒騎士探偵術 偵初法 尾行

  • 執筆者の写真: blackknight3214
    blackknight3214
  • 2018年10月5日
  • 読了時間: 4分

尾行について


今回は徒歩尾行について述べる。


徒歩尾行は文字通り、徒歩で相手を尾行することだが

自転車での尾行

交通手段として電車、バス等の公共交通機関

タクシーを使っての尾行

も徒歩尾行に含む。


尾行の一般論とその真実


徒歩尾行においては一般的に相手との距離は


20メートルから50メートル開ける


などと言われているが


実際は距離などは決まっていない。


なぜか


個人個人で視力や視野、歩行速度、背格好などは違うからである。


一言で言うと

 

自分が見失わず、相手に感づかれない程度の位置

である。(ここを100回読んでほしい)


これはその場その場で変化する。


例えば繁華街やラッシュ時の駅なら距離は近くなければ見失う。

深夜の住宅街などでは近すぎると気づかれやすいがかといって距離を開けすぎると建造物に入ったことがわからないという事が起こる。


そして距離ではなく位置と書いたのには理由がある。

実際には距離が問題なのではなく相手に感づかれるか否かが問題で

場合によっては非常に距離が近くても勘づかれないのである。


6カ条の内 「隠」を最も用い、精神面に「執」を宿す。

執が無いと腰が引けて視線を逸らしたり距離が開いて見失ったり

集中力が切れた一瞬の隙に見失ったりする。

(特に集中力が重要で往々にして集中力が途切れた一瞬の間に見失う)


高度な武技が受けと攻めとを兼ね備えているのと同じで

高度な尾行術も受けと攻めを備えている。


例えば受けに当たる動作は

相手との距離を開ける

相手の視界から外れる

見られないためにこちらが隠れる

立ち止まる

「謀」や「偽」を用い周囲に溶け込む

などである。


攻めに当たる動作は

しっかりと相手を自分の視界に入れる。

撮影する。

話し声が聞こえるほどの距離まで詰める。

などである。


未熟なものは受けだけ、攻めだけに終始してしまい、失尾あるいは露見に至る。

かならず受けと攻めを備えなければならない。


特に相手を視界に入れる動作は

肉眼が最も良いが、鏡やガラスの反射、カメラのファインダーその他様々なもので行える。

(もちろん肉眼が最も確実だが)

これは張り込みの際も同様で

例えばマンション内での張り込みの際に、対象者の部屋前では待てないので、近くの非常階段や上層階、下層階などから玄関扉を監視することがある。

これは距離ではなく位置の問題の好例、受けと攻めを備えた例である。

つまり相手の視界には入らないがこちらの視界には入っている状態である。


場合によっては隣宅との境界線辺りの窪地や物陰で一時姿を隠し、玄関ドアの開閉音を聞いて後姿を確認して尾行を開始することもある。これも相手との距離は非常に近いがお互いに姿は見えない。

こういう時は周囲から警戒されたり、対象者がなぜかこちら側に来た際の言い訳が必要で、作業着を着ておいて測量士や土地家屋の調査士、役所の環境課職員を装うか

平服なら迷いネコを探しているといいネコの写真でも見せる等が良い。


作り話の例:昨今、異常気象で猛暑日が続いている。この影響でアスファルトや壁が割れて      しまっていたり劣化が早くなっているという報告があるので確認しに来た。


      ネコは出来るだけ涼しいところにいるはずなのでこのあたりにいないかなと

      思って、この辺りでうちの猫を見たという人がいた。


      この前の台風のせいで~ など時流に乗った作り話が良い。

この辺りは各自の経歴による。

これは6カ条の内の「隠」「感」「偽」を主に使う方法だが長期間同じ位置で使う事はリスクが高い。

張り込めない場所でどうしても出入りを確認する必要がある際や、面取りの際に使う方法である。



徒歩尾行の上達に関しては「慣れ」が最も必要である。

メンタルが弱い者でも慣れてくればなんとかこなせるようになる。


しかしメンタルが弱い者が独習で習得するのはほぼ不可能である。


文面で書き尽くすことは難しいが

簡潔に述べると

メンタルが弱い者は

尾行をしているということに無意識に心が捕らわれてしまい

自身の弱い心が外面に顕現し

驚くほど不安げで後ろめたく「今さっき赤子を車で撥ねてきた」というような表情になっていたり

ビクビクとおびえるような挙動をしていたり

あげくに対象者の顔をそのような表情で見ながら壁に隠れて半身だけでのぞき込むような

どうみても不審者と自ら露見するようなことをしているのに

自分ではそれに全く気が付かないからである。


これを指摘できるものがいて初めてメンタルの弱い者は上達の階段を上ることが出来る。


極意書にも記したが気合をいれすぎるのも良くない。

顔や挙動、身体の周囲から噴き出す空気にそれが出てしまうからだ。

重要な仕事の時こそ意識して緩めなければ露見する。


尾行、張り込み、聞き込み等探偵の基本的職能の大部分で

探偵術のパッシブスキルともいえる『和顔』を持つものは有利である。


※『和顔』については『黒騎士探偵術 極意』で述べる。



実技においては

百聞は一見に如かず 百見は一考に如かず 百考は一行に如かず 百行は一果に如かず

である。

まず自分でやってみて、それで出来ればそれでもよいし

悪い点を指導者から修正されればさらに上達しないはずがない。

今回述べた基本原則に沿えば無駄な浪費をせずに上達できるだろう。



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