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皇室詐欺 皇室を自称する者、それに騙される者

  • 執筆者の写真: blackknight3214
    blackknight3214
  • 2018年5月30日
  • 読了時間: 6分

更新日:2018年6月1日

 詐欺の手口は日に日に進歩している。ある手口が流行れば(昨今ではオレオレ詐欺、大手ショッピングサイトを名乗った架空請求詐欺)それが使えなくなるまで使われるし、古典的で定番の詐欺を現代風にアレンジしたものもある。

 今も昔も、権威を騙り、「利益を与える、便宜を図る等」と偽り金銭などを享受する手口が度々使われる。

最近では「有栖川宮詐欺事件」「白仁王事件」などの皇室詐欺、江戸時代では徳川家を詐称した「天一坊事件」が知られている。

探偵業界によくある風景から語る。


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 探偵業界で調査の対象になりやすい詐欺は多額の金銭のやり取りがからんだ結婚詐欺であり、人探しの主な理由になるのは金銭の貸し借りである。

 相手の情に付け込み金銭を騙し取るその心根は醜悪、卑劣の極みであるが

うまい儲け話を持ち掛けて金銭を詐取する事件は古今後を絶たない。

これは人間の欲深さが不変のものである証である。


 詐欺の手口にはさまざまな種類があるが今回は権威を使った詐欺についてである。


 権威を騙る詐欺には一定のパターンがある。

  1. 本人ではなく、確認の難しい親族を騙る。

  2. 1人ではなく複数名の共犯がいる。

  3. 小道具や真実味を出す背景づくりには念を入れている。

  4. 金に困っているものが引っかかる。


1について

まず権威ある人物その人であると名乗ることは無い。すぐにバレるからだ。定番の設定は隠し子、死んだはずの兄弟の孫など権威ある人物その人ですら知らされてない或いは存在を隠したい人物であるということだ。


2について

犯行を単独で行うことは早々無い。もっともらしい御供や従者を連れて台本通りの最もらしい会話を聞かせることによって真実味を持たせることが成功の秘訣であるからだ。


3について

例えば皇族の関係者がジーパンなど履いていたら誰が見ても嘘くさくなってしまう。

極端なくらいにステレオタイプの扮装をするのがコツである。平安時代の公家のような恰好をするくらいがちょうどよいし従者にもそれなりの身なりをさせる。証拠品として系図や宝物類などの小道具を用意すればなお良い。

政治家やTVで度々見かけるような著名人との交流や親交を騙るのも定番の手口である。


上記の3条件がそろってようやく騙されやすい人間が騙されてくれる土台が出来る。


そして4について

手口として共通するのは

「まず最初に金を出せば、その見返りとして出した以上の金を与える。」

という話である。

これは多くの詐欺に共通する公式であるが

これは人の心の隙に付け込むタイミングが要といえる。

「私は騙されやすい」「今は特にお金に困っていない」と思っている人間には

この手口は通用しづらい。逆に

「私は騙されない」「私は特別な人間だ」「お金儲けのチャンスがどこかにないか」

「今 金銭的に苦しい」と思っている人間が見事に引っかかる。


 大規模な詐欺事件に共通する特徴でもり、筆者も詐欺事件に知らず内にかかわっていた経験があるゆえに一つ断言できることがある。


人は用意周到に計画された詐欺には抗えない。


相手を騙すためにあらゆる手を尽くし準備を進め、綿密な計画を作り、期を待ち実行する詐欺には気づくことは出来ない。


これに抗えるのは自分以外何も信じない。他人は全く信じない。この世の全てを疑うという者のみである。


では探偵業界での話をしよう。

探偵に相談に来る段階というのは概して

金銭を渡してしまったが一向にこちらの利益につながる話が進まない。(それどころかさらに金銭を要求されている)相手の話が本当なのか不安になってきたので調べてほしい。

という手遅れの段階になってからである。

ハッキリ言って傍から聞けば荒唐無稽な与太話でしかないのに依頼者はそれを信じてしまっているのだ。

まあこちらも、もしかしたら本当なのかもしれない などと一縷の望みを持って事実確認の調査に乗り出す。

私が経験した皇室詐欺の案件では先ほど挙げた条件の2,3が特に顕著にみられた。その自称皇族は本当に見た感じ裕福そうで高貴な生まれなのだろうという風貌や物腰なのである。

面相などはまるで弥勒菩薩のようであった。しかし油断していたのだろう、上下ピンクのスエットを着て玄関の観葉植物に水やりをしていた。

当時、探偵社に勤務していた私はすぐに本部に連絡を入れた。

「こいつが皇族の親戚縁者というのは嘘でしょうがこいつが正装をして高級ホテルに現れたら、誰もが信じるでしょう」

本部から「今日は依頼者がその対象者に呼ばれて話をしに行く。対象者が言うには今は麻生太郎が自分に面会を申し出てきたのでそれが終わってから、18時ごろに来てくれと言ってるらしい。SPやそれらしい車両などは付近に停まってないか?」と返信がある。

もちろんそんな車両やSPなどはいるはずもない。麻生太郎?有名人の名前だしてりゃいいってもんじゃないと失笑モノである。

そして約束の時間、高級セダンが自称皇族の家の前に停まった。そうこのような詐欺に騙される人間というのは、それなりの地位や収入を得ているが心に隙ができている人間が多い。

高級セダンの後部座席から依頼者が降り、呼び鈴をおすと宅内から完全武装と言えるほどの盛装をした自称皇族が現れた。その脇には配偶者なのか内縁なのか燕尾服姿の中年がいる。

聞くところによると自称皇族はこれを執事と呼んでおり身の回りの世話をさせているらしい。


「これは見事 これで執事と口裏を合わせてでデカい話をされたら…」 と私も舌を巻いた。


後日、この日のそれまでの状況を依頼者に写真付きで報告した。

上下ピンクのスエット姿の自称皇族、麻生太郎が来ていない様子などである。

しかし これを見てもまだ依頼者はこの自称皇族を信じたいのかさらに追加で調査を要求してくる。

それも仕方ない。嘘であるとわかってしまうと自分は騙されて出した金は返ってこないと認めることになるからだ。

人の心はかくも弱いものである。信じたいものを信じてしまう心の弱さ これは金銭問題に限らず恋愛その他、あらゆる場面で現れる。


この自称皇族の話の裏取や身上調査の結果で全くの作り話に騙されたと認めざるを得なくなった依頼者は金を返せと怒鳴りこんだが、自称皇族はのらりくらりと交わし続けた。

詐欺で刑事告訴すると脅してようやく金を返してきたのだがその金はどこから出てきたのか。


 それから数年後、とある女性が相談にきた。

「ある知人の言ってることが本当かどうか知りたい。」「その人物は天皇の隠し子の孫で」

ちょっと待ってください。もしかしてその人は「OO市」に住んでませんか?

「はいそうです!ご存じなんですか?よかった!有名な方なんですね?」


どうやら同じ手口で犯行を続けているようであった。

これも古今を問わず犯罪者に共通する原則である。



さて、このような犯罪にかかわる者の調査というのは一般の素行調査や浮気調査などよりもはるかに難易度が高い。

調査対象者は自分が犯罪を進行していると自覚しているし過去にどれだけのことをやってどれだけのことが明るみに出ず助かっているかを知っている。

それゆえに周囲に対する警戒心が非常に高い。

中途半端な腕の探偵が調査にあたるとすぐに露見し調査不能に陥る。

それ相応の経験と腕を持った探偵に依頼する必要があるだろう。


探偵社選びは本当に難しい。

 このような事案に対しては私は率直なアドバイスを行っています。 もし探偵社に調査を依頼するような事があれば、大損をしない為にも依頼する前に一度私にご連絡ください。 私は完全にあなたになり、あなたの為に最善のアドバイスをします。


黒騎士 ミツイシ











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